A Ghost Storyを観たという話(ネタバレ有)
今日はいいことがあった。
といっても、別にお金を儲けたとか彼女とクリスマスの約束をしたとかそういう類ではない。(いや、ないとは言い切れないではないか。それは読者のご想像にお任せしよう。どうぞ想像してください。)
タイトルそのまんまだが、昨日の深夜に映画A Ghost Storyを観た。
自分はホラーが苦手で、怖い場面はDVDを早送りして、先が見えてからまた巻き戻して見るってぐらいなので、怖かったらどうしようと思っていたんだが。
実際は一途さを試すような「ラブストーリー」だった。
ゆっくりなシーンとあっという間に時間が飛ぶシーンとの落差とか、ビルから飛び降りた(けど消えられない)場面の意味とか、色々言いたいことはあるが、(未見の方すみません)
個人的にこの映画のキモは、中盤パーティーみたいな場面で長話する男のセリフへの回答だと思う。
この男は「そのうちこの世のものは全て滅びる、だから創造物は意味がない」みたいなことを演説する。
それに対し。
この映画のラストで、主人公のオバケ(可愛い)は、かつての妻が昔柱に残したメモを見て、成仏するかのように消える。
これって、想いが込められたものを待っている人がいるってことなんじゃないだろうかなと。
そういえば、開拓時代みたいな場面で、野宿する家族の夫が「家を建てよう」みたいにいう一幕がある。
別に住宅メーカーの宣伝ではないが、「家を建てる」という言葉の響きが好きだ。
そしてBuildがタイトルに入っている曲は心に残りやすい気がする。
The Cinematic Orchestraの「To Build A Home」。
Bendy And The Ink Machineの「Build Our Machine」。
Bert Janschの「Build Another Band」。
他にもある気がするが、思い出せない。。。(←心に残っていても、記憶力はない。)
さて、今日は空いた時間に今村夏子の小説「こちらあみ子」を読んだ。
これもある意味では一途なラブストーリーだ。
作品もとても素晴らしいが、元INU町田康の解説がとても良いので引用する。
※()内は筆者注
「一途なものは、…希望のようなもの…を掴もうとする人間(一般世間)にとって耐えられるものではない…」
「自分たちを守るために世の中はこれ(一途なもの)を放逐しようとする…」
というのもまあこれを解説に書くかという感じなのだが、もっと凄いのは
「ただし、このこと(世間の嘲罵などを浴びること)に一途なものは直接のダメージを受けず、…この世のものとは別のものからのダメージを受け取る。
もし一途なものが、この世のものからダメージを受け取ったとしたら、それは、…この世の矛盾を自分の身で引き受けて守ったり、真剣に向き合って、優しさを示したり、する者たちからで、なぜなら、一途なものは、それに応える言葉を持たないからで、そのことから生じる悲しみによって一途なものに少しだけなにかが混ざるからである。」
という部分だ。
こんな文が書けるような人になりたい。
で、この小説の中ではトランシーバーが大切な役割を担うのだが、凡人の私は今日帰ってきてからボケーとM1を見ていたのである。決勝に残ったどの組もホント面白い。
とか言っていたら、トランシーバーという単語が出てきたではないか。
ということで、クリスマス前に浮かれる俗世間にちょっと掠ることができた、気がした。
冒頭のいいこととはこのことである。
自分にとってクリスマスに聞く定番曲はAmerican Music Clubの「Johnny Mathis' Feet」である。アレンジがクリスマスっぽい気がするから。(歌詞は全く関係ない。というか暗い。)
あ、でもこの曲みたいに音楽が心を引き裂くようなとき、悲しい歌詞に幸せそうな曲調とか割とあるような気がする。
幸せの淵を垣間見てしまったような悲しさ。
幸せを普通に幸せだと思える気分ってどんなんなんだろうなあ。幸せだと不安になるって歌はなんだっけ。
いやいやいや、普通に幸せに生きたいもんだ。
と言いながら今日もそこそこ健やかに暮らしているのである。
クリスマスが終わったら、安売りのアップルタイザーと飾りのないスポンジケーキでまた太るな。新年ももうすぐだ。
ということで今晩は最近流行っているらしい(ホントかよ)ヴェイパーウェイヴから猫 シ Corp & telepathの「Building A Better World」を聴いて寝よう。
おやすみなさい。