無用の長物

一日二回はコンビニに行く、もとい可愛いバイトのおねーちゃんを見に行く私、ある時ふと入り口で考えてしまった。
「コンビニって24時間なんだから、入り口のドアのカギ要らなくね?」
このカギ君はずっと出番がないのに健気にその機能を保ちながら呼ばれる時を待っているのだ、と考えたら急にとてもいとおしくなって泣きそうになった。

残念ながら自分は糞の役にも立たない人間である。会社なんてものは自分がいなくなりそうになると(メンドクサイから)全力で引き止めるくせに、実際いなくなってもケロッと代わりを探しそれなりにやっていけるものだ、世の中を観察してるとそういうことは何となく分かってくる。でも私は、コミュ力の無さは致命的なマイナスとはいえ、仕事は真面目にやるから、歯車程度には機能している、んだろう。

「昔の」自分「は」アホだったので勉強はそこそこできると自分で思っていたところ、高校に入ってすぐのテストで学年のビリから数えて10番を取ってしまった。その時、「120年の歴史があるこの高校なら同じような境遇の仲間は120人もいるハズだからまだ何とかなるだろう多分」という謎の擁護を用いて傷ついたメンタルを立て直した俺である。自分が役に立たないと感じたときは、嫁姑争いのごときテンションでコンビニのカギと張り合おうと思ったのだ。

前にテレビのドキュメンタリーで、コンビニの店長の待遇が酷いということで本部に声を上げて戦ったものの、結局争いに疲れ店を畳んだ、という趣旨の番組があった。その主張の是非は分からない。ただ、その店の最終日の営業が終わりコンビニのカギがそっと締められる様は、私にとっては感慨深いものがあった。

ちなみにググったところ無用の長物とは仏教の用語とのこと。人間に必要なものを6つ定義して、それ以外は必要のないものとするらしい。さすがに潔い。そのうち3つは衣服。残念ながらコンビニのキレイなおねーちゃんはランク外だった。(12/18)