STRAY SHEEPを適当にレビューしてみる

こんにちは!

早速ですが自分は米津玄師にそこまで詳しいわけでもなく、インタビューも一切読んでませんし、Lemonとかシングル曲もまともに聞いたのはアルバムが初なので、そういう人のレビュー読みたい方は他を漁って下さい。
(今年の夏は仕事が忙しく、殆ど新譜を追えなかった…ので、ひたすらAimerとNipsey HussleとCalvin HarrisとOZworldの旧譜ばっか聴いてました…死ね我が会社…)

■特に目立った全体の印象

①協同
菅田さんとか野田さんとかもそうですが、一番はアレンジが変わりましたね。昔は1人で作る手造りの職人芸みたいな趣がありましたが、今作で目立ってるアレンジャー坂東さんの存在、音使いは音の器を一段上のレベルに上げてると思います。

②R&B路線の伸張
前作でハッキリ前景化した感があるこの路線、個人的には当時スキップ対象でした(失礼!)。今作でそれを深化させていますが、ポップスのフォーマットと馴染みつつ米津さんの色もより出ていて、とても良くなったと思います。普通に海外のトップランナーたち、R&Bとかラップとか好きなんでしょうが、それを形に出来るのはまた別の話、つまり才能と努力なんでしょうね。

③ヴォーカルの成長
音域高く(広く)なりましたね。ファルセットも多くなった。 

■曲ごとに一言

・カムパネルラ
たぶん今作で一番好き。何と言っても腹に来る低音ですね。
甲子園で地元のチームを応援する人を見て「いやただの他人だろ」という自分でも、宮沢賢治はマジで岩手の誇りです。

・Flamingo
街で流れてる時は「なんだこのクソ曲」と思ってましたが(失礼)実際聴くとメチャメチャいいですね。
案外こういう曲が、昔の所謂インディーロックの現代における正当な後継者なのかもしれません。それをメジャーでやる所が凄いのですが。

・感電
サビの後半から「フローライト♪」って歌いたくなる軽快でゴージャスな曲。
余談ですが、コード進行にしても曲調にしても、フローライトは上記②路線を推し進める上でのベースになってるかもですね。

PLACEBO
フューチャーという冠が付きそうな80年代路線、というのが今っぽい(いつだよ)。そしてこの曲調とツインボーカルって凄く合ってるという。

・パプリカ
これは何と言ってもサビ前のアレンジですね。雲から日が射してくる感。
なおツイッターか何かで見た(芸術的感性において)「子供をナメるな」ってのはホント同意しかない。

・馬と鹿
ど真ん中ストレートって感じですが、これもアレンジ力を感じる曲ですね。好きです。

・優しい人
この曲だけじゃないんですが、弱者の視点をどう持っているかは信頼のバロメーターですね。
アーティストは、作品の中で他者を演じることができます。それは観衆からすれば、演じられる役自身の視点を持つと同時に、その役を外から見る視点も持っているということになりますが、そのあたりを上手く突いた曲ですね。

・Lemon
自分の中ではカラオケ曲です。なぜこれが流行ったのかはよく分かりませんが、歌詞も大きいのかも。私の知らない横顔で、というパンチライン。米津さん、前にもレモンのモチーフを歌詞で使ってましたよね。

まちがいさがし
菅田バージョンは聴いたことなくて、斜に構えて聴いたつもりなんですが普通に良い曲ですね。これもイントロアウトロが凄く印象的というか、自分の場合ジョナスメカスの映像が浮かびます。

・ひまわり
これは今のところ特にコメントがない…。

・迷える羊
これは個人的に平沢進を想起せずにいられない。あと意識してはいないと思うけど声の重ね方はXTCぽい。アルバム中でも2番目に好きです。
そういえばパプリカって映画あったなと思い出して4曲目の曲名を二度見。
米津さんの作品って昔から今敏映画(宮崎駿映画もだけど)と共通するムードあるように思います。

・Décolleté
どっからこういう着想を得るのかなあ。感想としては何故かは分からないけれど夜と曲線が見える曲だなと思います。
パプリカよりこっちの方がみんなのうた向きでは(無理か)。

・TEENAGE RIOT
こういう曲調は、昔ロックばかり聴いてた自分にとってはホームって感じなはずなんですが、個人的にこういう系はもっと悪い音質で聴きたいなって思っちゃいます。我が儘ですね。むしろライヴでより活きるかも。

・海の幽霊
自分は「海獣の子供」リアルタイムで全巻揃えるくらい大好きだったので、五十嵐大介さんの良さがもっと広まってくれるといいなと思います。(映画は、映画としては、ちょっと微妙ではありましたが…)

・カナリヤ
これは…全国の結婚式場から凄まじい需要がありそう。

■まとめ

米津さんはYANKEEで一回己の路線を極めた印象があって、BremenからはポップスやR&Bに向き合ってきた気がしているんですけど、その集大成が今作になるかも知れませんね。本気で遊んでいるうちに、単なる模倣の時期を終えて、米津さんらしさがより強く出るようになったと思います。

今作の印象をまとめると、「多感で傷を持つ青年が、ブレーキを踏みながら同時にアクセル踏んで恋をするアルバム」って感じです。
冒頭に協同って書きましたが、たぶん良いパートナーがいる気がする。というかこの作品創っておいていなかったとしたら怖い。

何か忘れてる気がするけどではさよなら。