STRAY SHEEPを適当にレビューしてみる

こんにちは!

早速ですが自分は米津玄師にそこまで詳しいわけでもなく、インタビューも一切読んでませんし、Lemonとかシングル曲もまともに聞いたのはアルバムが初なので、そういう人のレビュー読みたい方は他を漁って下さい。
(今年の夏は仕事が忙しく、殆ど新譜を追えなかった…ので、ひたすらAimerとNipsey HussleとCalvin HarrisとOZworldの旧譜ばっか聴いてました…死ね我が会社…)

■特に目立った全体の印象

①協同
菅田さんとか野田さんとかもそうですが、一番はアレンジが変わりましたね。昔は1人で作る手造りの職人芸みたいな趣がありましたが、今作で目立ってるアレンジャー坂東さんの存在、音使いは音の器を一段上のレベルに上げてると思います。

②R&B路線の伸張
前作でハッキリ前景化した感があるこの路線、個人的には当時スキップ対象でした(失礼!)。今作でそれを深化させていますが、ポップスのフォーマットと馴染みつつ米津さんの色もより出ていて、とても良くなったと思います。普通に海外のトップランナーたち、R&Bとかラップとか好きなんでしょうが、それを形に出来るのはまた別の話、つまり才能と努力なんでしょうね。

③ヴォーカルの成長
音域高く(広く)なりましたね。ファルセットも多くなった。 

■曲ごとに一言

・カムパネルラ
たぶん今作で一番好き。何と言っても腹に来る低音ですね。
甲子園で地元のチームを応援する人を見て「いやただの他人だろ」という自分でも、宮沢賢治はマジで岩手の誇りです。

・Flamingo
街で流れてる時は「なんだこのクソ曲」と思ってましたが(失礼)実際聴くとメチャメチャいいですね。
案外こういう曲が、昔の所謂インディーロックの現代における正当な後継者なのかもしれません。それをメジャーでやる所が凄いのですが。

・感電
サビの後半から「フローライト♪」って歌いたくなる軽快でゴージャスな曲。
余談ですが、コード進行にしても曲調にしても、フローライトは上記②路線を推し進める上でのベースになってるかもですね。

PLACEBO
フューチャーという冠が付きそうな80年代路線、というのが今っぽい(いつだよ)。そしてこの曲調とツインボーカルって凄く合ってるという。

・パプリカ
これは何と言ってもサビ前のアレンジですね。雲から日が射してくる感。
なおツイッターか何かで見た(芸術的感性において)「子供をナメるな」ってのはホント同意しかない。

・馬と鹿
ど真ん中ストレートって感じですが、これもアレンジ力を感じる曲ですね。好きです。

・優しい人
この曲だけじゃないんですが、弱者の視点をどう持っているかは信頼のバロメーターですね。
アーティストは、作品の中で他者を演じることができます。それは観衆からすれば、演じられる役自身の視点を持つと同時に、その役を外から見る視点も持っているということになりますが、そのあたりを上手く突いた曲ですね。

・Lemon
自分の中ではカラオケ曲です。なぜこれが流行ったのかはよく分かりませんが、歌詞も大きいのかも。私の知らない横顔で、というパンチライン。米津さん、前にもレモンのモチーフを歌詞で使ってましたよね。

まちがいさがし
菅田バージョンは聴いたことなくて、斜に構えて聴いたつもりなんですが普通に良い曲ですね。これもイントロアウトロが凄く印象的というか、自分の場合ジョナスメカスの映像が浮かびます。

・ひまわり
これは今のところ特にコメントがない…。

・迷える羊
これは個人的に平沢進を想起せずにいられない。あと意識してはいないと思うけど声の重ね方はXTCぽい。アルバム中でも2番目に好きです。
そういえばパプリカって映画あったなと思い出して4曲目の曲名を二度見。
米津さんの作品って昔から今敏映画(宮崎駿映画もだけど)と共通するムードあるように思います。

・Décolleté
どっからこういう着想を得るのかなあ。感想としては何故かは分からないけれど夜と曲線が見える曲だなと思います。
パプリカよりこっちの方がみんなのうた向きでは(無理か)。

・TEENAGE RIOT
こういう曲調は、昔ロックばかり聴いてた自分にとってはホームって感じなはずなんですが、個人的にこういう系はもっと悪い音質で聴きたいなって思っちゃいます。我が儘ですね。むしろライヴでより活きるかも。

・海の幽霊
自分は「海獣の子供」リアルタイムで全巻揃えるくらい大好きだったので、五十嵐大介さんの良さがもっと広まってくれるといいなと思います。(映画は、映画としては、ちょっと微妙ではありましたが…)

・カナリヤ
これは…全国の結婚式場から凄まじい需要がありそう。

■まとめ

米津さんはYANKEEで一回己の路線を極めた印象があって、BremenからはポップスやR&Bに向き合ってきた気がしているんですけど、その集大成が今作になるかも知れませんね。本気で遊んでいるうちに、単なる模倣の時期を終えて、米津さんらしさがより強く出るようになったと思います。

今作の印象をまとめると、「多感で傷を持つ青年が、ブレーキを踏みながら同時にアクセル踏んで恋をするアルバム」って感じです。
冒頭に協同って書きましたが、たぶん良いパートナーがいる気がする。というかこの作品創っておいていなかったとしたら怖い。

何か忘れてる気がするけどではさよなら。

Starry Sky1位の日のライクソングを聴いて

突然だが、自粛期間にやっと読んだ東野圭吾の小説で

A「あなたの地元はどこ?」

B「そんなものはない」

みたいなやりとりがあって、読んでて体の変な部分が熱くなった。

それには決して負けていられないということで、自己紹介で「どうも、生きるソーシャルディスタンスです」と名乗っているが、今一つ評判は良くない。

なんでだろ。

 

しかし、コロナの影響で色々な産業が大変だと言われているが、土産物屋なんて一番大変じゃないだろうか。

ホテルなんかはまだ地元の需要少しはあるだろうけど、土産って地元の人は買わないよね。

しかもこのご時世土産なんて会社に持ってったら、むしろ不要不急の外出の証明みたいになっちゃうし。

食べ物なら通販とかできるかも知れないけど、、、

ホテルなんかより大変だと思うなあ。

 

さて、今日は↓これ↓を倍速かつ無音で再生しながら


The Smiths - Heaven Knows I'm Miserable Now (Live on Top of The Pops '84)

 

↓これ↓を音(通常速度)で流す


夜の本気ダンス MV "WHERE?"

 

という下らない遊びをしていた。

 

前置きはこれくらいにして。

 

今日はハッカーPassCodeのファン)として1つだけ書きたいことがあるのです。

 

さっき、南さん(以下やちい)のラジオ「ライクソング」聴いてた。

 

この番組、いつも2曲目にパスコの曲をかけるんだけど、今日は今朝オリコンウィークリー1位が発表されたばかりの(おめでとう!)新曲Starry Skyではなく、Rayを選曲していた。

ラジオの中で語っていたように、またこれまでも折に触れて語っていたように、やちいはあまり売り上げみたいなものに固執していないから、この展開はファンでも何となく流してしまいそうな展開ではあった。Rayいい曲だしね。

 

 でも、なんで?ってのを書きたい。

 

ちょっと遡って、そもそも今日の1曲目はサンボマスターの「忘れないで忘れないで」だった。機材トラブルがあったようで、(再放送だと直ってるかも知れないけど少なくとも生では)残念ながら曲は半分以上が無音状態になってて聴けなかった。

 

実はいつもライクソングを聴きながら自分が常々思っていることがある。

それは「やちいはその時に思っていること感じていることを、1曲目の選曲にダイレクトに込めてくることが割と多い」ってこと。

 

逆に、中盤の曲とかコーナーの曲とかは割とスタッフさんが選んでいることもある、と感じる。根拠があるわけではないけどね。

 

で、今日に関しては「忘れないで忘れないで」と「Ray」の流れに意味があったから、やちいがこの選曲にしたんだと思う。

興味があるハッカーは、ぜひそれぞれの歌詞を改めて読んでみてほしいなと思う。ただそれだけ書きたくてこのブログを書いたのである。

 

詳細までハッキリと言っていたわけではないが、放送内では「テラハ」のことや「聞きたくない声が耳に入る」ことにも少し触れていた。たぶんいろんな声やら書き込みやら見聞きしたんだろう。自分もそれについて詳しく書くつもりはないけど、最近のやちいは落ち込んでいたような節があるし。ファン以外からのガヤはともかく、彼女の場合ちょっとアレなファンからのディスでも「ファンである以上好きにさせたい!」って考えちゃうタイプだと思うから余計に。

でも、彼女は音楽業界が好きで色々見てきているから、頭ではたぶん冷静に状況を見られていると思うし、何より上記2曲の選曲に彼女なりのアンサーというか決意を見せているのがプロのアーティストたる所以だと思う。メンバーやスタッフというちょっとバカ個性豊かで頼もしい人たちにも囲まれているしね。これからの活動で見せていってくれるでしょう。

 

別に自分は批判が悪とは全然思ってないし、プロの人がこういう状況になった時、プロの側はどうするか、ファンの側はどうするか、思うところがないわけではないけどそれはまた別の機会に。

いい歳したおっさんがこんなこと延々と書いてるのも我ながら気持ち悪いので今日はサッとこのへんで。

 

最近はKohhバルトークばっかり聴いている。改めて、Kohhはこの10年の日本の音楽シーンの中で最も重要な存在だと自分は真剣に思っている。

けど、今日はそれじゃ寝られないから、やちいのテーマソングだと勝手に思っている(いや本人は知らんかも知れんけど)The Lovin' Spoonfulの名曲「Do You Believe In Magic」を聴いて寝よう。歌詞もいいよ。おやすみなさい。

映画「ハプニング」を見たという話

今日もねるねるねるねを自動でかき混ぜ続ける装置の動画を見たり、三角形を描くと精神年齢を判定してくれるアプリで精神年齢0歳と判定されたり(怒)、「怒られる時に気持ちよく怒られることができる上司はいい上司だ」という自分的名言を考えてノーベル経済学賞受賞の可能性を考察し悦に入ったり、相変わらずな生活を送っている。ポプテピピックのop最高。

コロナの影響で色んなことが自粛になっているが、こういう時人との繋がりが少ない自分は幸か不幸か大して影響を受けない(映画「ビューティフル・マインド」に倣って言うなら自分はスパイにうってつけの人間である)。

自分がしたことと言えば愛用のパブロンがヤバいというデマなのか本当の話なのかよく分からない説に踊らされてカコナールを買ったぐらいのものだ。それでも街でジョギングする心の友の皆さん(と私が呼んでいるだけの要は赤の他人)がジョギング中にマスクをしているのは流石にちょっと驚いた。

 

さて今日の本題、半月ほど前にたまたまM・ナイト・シャマランの「ハプニング」を観た。

当時はまだ今ほどコロナが騒がれていなかったのだが、観てからのコロナの流れはなんか結び付けないではいられない感じである。きっと今頃全国のレンタル屋で大ヒットしているに違いない、と思ったがなぜかトイレットペーパーの人気の1000億分の1くらいしか人気がない模様である。

でも、コロナの影響でSF映画なんかを想起した人は結構多いのではないかと思う。

映画のあらすじとしては、人類が特定の地域で突然自殺を始めるのだが、その原因が分からず、その地域が徐々に広がり、残された人々は追い詰められパニックに陥りながらも何とか生き延びとようとする、と言う話だと思う(多分)。

映画では、正直病気の広がり方も突発的で、その原因も分かるような分からないようなという感じで、作品の評価も若干(でもないか)芳しくないように見受けられる。ただ、自分は前々から、人類が滅亡するなら戦争なんかより謎の疫病かなんかがワッと広がる方が怖いと言う論を自分の周囲2mぐらいに撒き散らしているので、この奇想天外な映画にも妙な親近感を感じたものである。

 

もし自分がコロナにかかったらと考えると中々怖いところではあるが、何で怖いと感じるのかと考えると、身体的な苦痛や社会的な非難・孤立というのもあるが、やはり、タイミングがわからない中でいきなり不本意な形で死ななければならないというのが結構恐い。

そういうことを考えると、悔いのない人生を送りたいものである。

よく「親父は言葉でなく背中で語る」みたいなことを言うけれど、悔いのない人生というのが言葉とかイベントとか社会的成功とかそういう物差しでなく、自分の身体に染み付いててどんな時でも日々体現できているといいなあと思う。反省。

 

しかし、自分は映画を見る時にあまり話の整合性とか考えないで頭真っ白で観るので、この映画をシャマランがどういう意図を持って(あるいは持たないで)撮ったのかは不明である。

社会に警鐘を鳴らそうとかどのくらいあったんだろう。どっちかというとそれよりパンク魂の表出みたいなものの方に近い気もするが…。単純に人が首吊りまくってる絵面撮りたいだけとか。

早くコロナ収まるといいな。

 

さて、こんな世の中で自分は最近FeistとかJoni Mitchellとかばかり聴いているのだが、去年騒がれた時も含め今まで全然通過してこなかったFoalsの「Total Life Forever」の人懐っこさ(歌詞は全然そんなことなくてむしろ今って感じだけど)に今更ハマっているので、今日はその中から「Black Gold」を聴いて寝よう。

A Ghost Storyを観たという話(ネタバレ有)

今日はいいことがあった。

といっても、別にお金を儲けたとか彼女とクリスマスの約束をしたとかそういう類ではない。(いや、ないとは言い切れないではないか。それは読者のご想像にお任せしよう。どうぞ想像してください。)

 

 

タイトルそのまんまだが、昨日の深夜に映画A Ghost Storyを観た。

自分はホラーが苦手で、怖い場面はDVDを早送りして、先が見えてからまた巻き戻して見るってぐらいなので、怖かったらどうしようと思っていたんだが。

実際は一途さを試すような「ラブストーリー」だった。

 

ゆっくりなシーンとあっという間に時間が飛ぶシーンとの落差とか、ビルから飛び降りた(けど消えられない)場面の意味とか、色々言いたいことはあるが、(未見の方すみません)

個人的にこの映画のキモは、中盤パーティーみたいな場面で長話する男のセリフへの回答だと思う。

この男は「そのうちこの世のものは全て滅びる、だから創造物は意味がない」みたいなことを演説する。

 

それに対し。

この映画のラストで、主人公のオバケ(可愛い)は、かつての妻が昔柱に残したメモを見て、成仏するかのように消える。

これって、想いが込められたものを待っている人がいるってことなんじゃないだろうかなと。

 

そういえば、開拓時代みたいな場面で、野宿する家族の夫が「家を建てよう」みたいにいう一幕がある。

別に住宅メーカーの宣伝ではないが、「家を建てる」という言葉の響きが好きだ。

そしてBuildがタイトルに入っている曲は心に残りやすい気がする。

The Cinematic Orchestraの「To Build A Home」。

Bendy And The Ink Machineの「Build Our Machine」。

Bert Janschの「Build Another Band」。

他にもある気がするが、思い出せない。。。(←心に残っていても、記憶力はない。)

 

 

さて、今日は空いた時間に今村夏子の小説「こちらあみ子」を読んだ。

これもある意味では一途なラブストーリーだ。

作品もとても素晴らしいが、元INU町田康の解説がとても良いので引用する。

※()内は筆者注

 

「一途なものは、…希望のようなもの…を掴もうとする人間(一般世間)にとって耐えられるものではない…」

「自分たちを守るために世の中はこれ(一途なもの)を放逐しようとする…」

 

というのもまあこれを解説に書くかという感じなのだが、もっと凄いのは

「ただし、このこと(世間の嘲罵などを浴びること)に一途なものは直接のダメージを受けず、…この世のものとは別のものからのダメージを受け取る。

もし一途なものが、この世のものからダメージを受け取ったとしたら、それは、…この世の矛盾を自分の身で引き受けて守ったり、真剣に向き合って、優しさを示したり、する者たちからで、なぜなら、一途なものは、それに応える言葉を持たないからで、そのことから生じる悲しみによって一途なものに少しだけなにかが混ざるからである。」

という部分だ。

こんな文が書けるような人になりたい。

 

で、この小説の中ではトランシーバーが大切な役割を担うのだが、凡人の私は今日帰ってきてからボケーとM1を見ていたのである。決勝に残ったどの組もホント面白い。

とか言っていたら、トランシーバーという単語が出てきたではないか。

ということで、クリスマス前に浮かれる俗世間にちょっと掠ることができた、気がした。

冒頭のいいこととはこのことである。

 

 

自分にとってクリスマスに聞く定番曲はAmerican Music Clubの「Johnny Mathis' Feet」である。アレンジがクリスマスっぽい気がするから。(歌詞は全く関係ない。というか暗い。)

あ、でもこの曲みたいに音楽が心を引き裂くようなとき、悲しい歌詞に幸せそうな曲調とか割とあるような気がする。

幸せの淵を垣間見てしまったような悲しさ。

幸せを普通に幸せだと思える気分ってどんなんなんだろうなあ。幸せだと不安になるって歌はなんだっけ。

いやいやいや、普通に幸せに生きたいもんだ。

と言いながら今日もそこそこ健やかに暮らしているのである。

クリスマスが終わったら、安売りのアップルタイザーと飾りのないスポンジケーキでまた太るな。新年ももうすぐだ。

 

 

ということで今晩は最近流行っているらしい(ホントかよ)ヴェイパーウェイヴから猫 シ Corp & telepathの「Building A Better World」を聴いて寝よう。

おやすみなさい。

ロボットの話

今日はこんなホラー(?)を読みながら、ロボットについてぼんやり考えていた。

#100文字ドラマ 10本立て|樋口恭介|note

 

ロボットと人間の違いについてググってみると、ロボットには心がないとか、不気味の谷orリアルさが足りないとか、非合理性がないとか出てきたが、こんなん人間でも一緒だろーと思ったりする。

心がないとか、不気味でリアルさがないとか、俺じゃん。(でも非合理性しかないのは何故…)

 

小さい頃、ある日突然周りの人から「実は私たちみんなロボットなんだよ」or「あんた実はロボットなんだよ」って言われるドッキリを仕掛けられたらどうしようと考え、寝る前よく怖い思いをしたのを今でも覚えている。

 

さて、「ロボット」の異質さが強調されるのは、自分的にはむしろ、教育・習慣の問題と、主客問題が大切な気がしている。

 

自分はよくブス(失礼)専の人を見ると羨ましいなと思ってしまう。まさにチートというか、ブルーオーシャンとかいう横文字を聞く度に頭をよぎるのはブス(失礼)専である。そう、どっか海外に行ったらもしかしたら自分を理想のタイプとして扱ってくれる国があるかもしれないのだ(←言うだけならタダ)。

で、次に思うのは「子供の頃からブス(失礼)最高って教育されたらブス(失礼)専になれてたんじゃね?」ってことだ。

もっとも理想のタイプというものはなかなか難しいものだと思う。平均的な顔は美しいとされがちとか言うし、嫉妬やコンプレックスや無い物ねだり、社会的・経済的地位、会うタイミングや頻度、健康さ/不健康さ、等々。見た目の他に、自分との関係や社会的立場も大きく関わってくるので、どの要素がどこまで、という境界を見つけるのは難しい。

でも、例えば日本人のタイプとアメリカ人のタイプは明らかに違う気がするし、もし日本人がアメリカで育ったらかなりの確率でアメリカ人のタイプな人を好ましく思いそうな気がする。

とまた回りくどいことを言っているが、人間が感じる「人間らしさ」ってのも大体は似たような話だと思うのだ。

そう考えると、オタクの「二次元最高!」みたいな自己暗示(失礼)も、もしかしたら修行を積むことでいずれ本物になるのかも知れない。

前にも書いたことだけれど、人間が「考えている」って時には記号とか言葉とか道具を使っていて、それも自分の考えのような顔をしているけれど実際は何処かで聞いたことを受け売りしていることも多い。

部品そのものというよりは、その思考が積んできた歴史とか、ミックスの仕方とか、あるいはその過程で出てくるエラーとか、そういうのが独自性って言われるものであって、だから尊いんじゃないかなあ。それは人間でも「ロボット」でも一緒な気がする。

 

もう一つは自己の問題だ。

人間やっぱり自分中心に物事を考えがちで、自分の地元とか、自分の国とか、人間とか、自分に近い方から擁護しがちな傾向はやっぱりあると思う。自分なんかはだいぶひねて育っているので地元愛とか薄いし「アルゼンチン音楽最高!」とか言っているし、自分と違う・異質な人をかなり大事にするタイプの人間だとは思うが、それでもやっぱり自分中心に物事を考える、もしくはそうせざるを得ない局面はある。

そもそも、元々自分は自分と世界の「境界」(皮膚とか)に興味があって文章を書いたりしていたんだが、ものを見るときにこの視点は結構強力だと思っている。内側のことなのか、外側のことなのかという区別。

自分を捨てて世のために生きる、と言っても、生命維持のためには例えば食という形で他の生き物の命を犠牲にしなくてはならない。だから、必ずどこかで折り合いをつけないとやっていけないのだ。(そう考えると自分の顔をちぎって他人に与えるアンパンマンはなかなか衝撃的なアイディアだ。)

人生一事が万事こういった具合だから、やはり自分に近いカテゴリー、自分が属するコミュニティを優先するというのは、ある意味当然でもある。逆に言うと、だからこそ他人を尊重することが大事だとも言える。

ロボットの異質性というのも、人間とロボットというカテゴリーから出発しているから「ロボット」が他者に見える、「人間」と「ロボット」それぞれの独自性や違いを考える、というのはあると思う。

では、もしロボットという言葉がなくて「津軽人」「佐藤」という呼ばれ方だったら。

または、もしロボットが「人間とロボット」という垣根を割ってすぐそこに共存するなら。

知らない人と会って話してみたら仲良くなった、というレベルでカテゴリーの違いなんてすぐなくなるものかもしれないのだ。

権力者が自分の義手や自分のペットロボットを愛でながら遠くで面識のない第三者を殺戮しているなんてことは、現代でももう普通に起こり得ることだと思う。

 

ま、今の時点ではロボットはまだまだ人間らしくない、という気もする。もっと高度になったらという話ではある。

 

そう考えてふと思ったのが、ロボットって仕草とか話し方とか見た目とかは人間に似せようとしているけど、生殖活動って面ではめちゃ遅れているなってこと。

エロいロボットとか想像しにくいしなあ。マックとか食わないし。

 

あと、よく「自動化」(=人間ができないことをAIや機械がやる)って聞くけど、AIってそんな「自動」かなあとも思う。それこそ目的合理性はメチャあるかもしれないけど、見方によっては、というか人間の方がよっぽど自動で色んなことしてるような気がするけれど。さっき俺が食べた夕食が消化される自動っぷりはなかなかのものだ。ロボットはギャル曽根に負けてはいけない(?)。

 

とまた下らないことを書きながらKraftwerkとかDrexciyaとか聴いている自分はやっぱり典型的な人間なんだなあと思う。

今日は宇多田ヒカルのAutomaticでも聴いて寝るか。いややっぱりゆるふわギャングのDippin Shakeにしよう。

 

インタビュアー「Automaticさんはどういった方なんですか?」
Ryugo Ishida「仙人みたいな人で、ミステリアスなんですよ。」

 

おやすみなさい。(2019/11/20)

PassCode最高という話

先週末盛岡と仙台でPassCode(以下パスコ)のライヴをハシゴしてきた。

 

楽しすぎてまだ余韻が冷めないのだが、ボッチ参戦の上、三沢とか八戸とかにいるとパスコの会話を出来る人がいない(涙)。

よってここはひとつ、超主観的に自分流パスコの楽しみ方を書いてみたい。

興味のない友人にプレゼンする勢いで。

 

まあ、頭を真っ白にしてライヴ行け、で済む話ではあるのだけれど。

 

なお、ルックス的魅力に関しては腹筋が素晴らしい自分より先輩の皆様(ひなちゃん天使おじさんとか)が熱意を持って常々語っていらっしゃるようなのでバサッと割愛。

 

 

先に結論を言うと、自分はパスコの音楽をダンスミュージックとして聴いている。(ガチのダンスミュージックとはちょっと違うが)

そして、彼女たちの曲は一見派手なんだけど、実はスルメ的要素が強いと思っている。

   

 

パスコの曲を作っている平地さん(他には解散してしまったがNEVE SLIDE DOWN等プロデュースしていて、そちらも最高)、ほとんどのライヴでドラムを叩いているMy First StoryのKid'zさん。

ファンの間ではよく言われているが、自分にとってもこの2人の存在はとても大きい。

 

 

自分はパスコの曲を聴く時、基本的にドラムのスネア(及びバス)をまず追う。

 

そもそもKid'zさんのドラムは上手くて手数が多い。それがまず魅力なんだけれど、それだけではない。平地さんがアレンジしている、曲調、特にリズムの「変わり目」を追うのが楽しいのだ。

 

言葉だけでは伝わりにくいので早速一つ例を挙げてみよう。最新シングルのATLASという曲がある。

 

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1回目のサビ前半。

 さんで さんで さんで んかい

と、下線部分がドラム的に強調している(スネア(=タンって音)が入っている)ところ。

「いちにっさんしっにいにっさんしっ」と8ビートで数えるなら奇数拍。

これがサビ後半では、

 めぐりあっ わらっ なやん みたっ

と、強調される部分が偶数拍に変わるのだ。

こういう切り替わりに乗るのがとても楽しい。

 

ちなみにこの曲ではサビが3回あって、2回目のサビも1回目のサビ同様なのだが、実は3回目のサビでは、強調されるのが前半は偶数拍、後半は奇数拍と、それまでの逆になっているという仕掛けもある。

こういうのに乗るのがとても楽しい。

 

 

こんな感じで、自分はパスコの曲を聴く時ドラムの強調される拍を中心に聴いているけれど、パターンとして、

・奇数拍強調

・偶数拍強調

・全拍(強調)

の3パターンをベースにしている。そしてこれがコロコロ切り替わるところが楽しい。

(もちろん実際は厳密に分けられる訳では無いのだけれど、あくまで聴く側としての楽しみ方の話です。)

 

もう一つ似た例として、in the Rainという曲がある。

この曲のサビでは、上記で言うと

奇数拍→全拍→偶数拍

という流れを辿る。

 

上記は例にしやすいので例にしたが、そもそも彼女たちの曲は数小節単位でガラッと曲調が変わるのが当たり前なので、こういう変化はほとんどの曲でサビ以外でも普通にある。

 

 

 

併せて言うと、上記のようなリズムや曲調の複雑さの割に、パスコの「歌」の譜割りというかメロディーのリズムはそこまで複雑ではない。(なお関係あるか分からないが、平地さんは久石譲が好きだったらしい。)

だいたい「奇数拍」に「乗って」いる。

また、サビなど目立つ部分のギターもリズムは「奇数拍」に「乗って」いることが多いと思う。

ライヴなんかだと、それに合わせて手を振って体を揺らすことになる。

だから、ドラムが偶数拍強調だと、そのズレもまた気持ちいい。

(これはパスコに限らないだろという気もするが、多分パスコはリズムに耳が行くのでそういう意識で聴いてしまうのかもしれない。)

例えばDIVE INTO THE LIGHTという曲のサビでは、ボーカルやギターは奇数拍、ドラムはどちらかというと偶数拍に乗っている。

 

 

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また、切り替わりが楽しいということを書いたけれど、切り替わるときにはドラムの連打や3連符(が連続する場合も有)なんかが入ることも多い。ドラムブレイクって言うのかな。

偶数→小説終わりで3連符→次小節から奇数

みたいな。

曲調の切り替わりのところで変拍子的なパターンが来るのも楽しい。こういうのに乗っかるのが楽しい。

 

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以上を踏まえると(踏まえなくてもいいんだが)、上記ATLASのカップリング曲GOLDEN FIREなんか、歴代曲の中でも最高級にリズムの変遷が面白い曲で、曲を覚えるまで聴き込むとメチャ楽しい。音源が上がってないので紹介できないのが残念。ちなみにこの曲はギターアレンジも凄く好き。

 

 

こういう話は、ラウドロックやメタルを聴いている人より、太鼓の達人とかビートマニアとかやってた人の方がもしかしたら伝わりやすいかも。

いずれにせよ、自分はライヴに行く度「Kid'zさんが一番楽しいだろうな」と思う。

一番要の部分を一番感じられてそうだから。 

 

 

さて、今のパスコの路線が確立したのはアルバムZenithからで、このアルバムは激しい曲が多かったので、その路線を支持するファンの間では「(上記の)ATLASはポップすぎてつまらない」という声も一部で聞かれた。

ただ、自分もそうだが、一聴するときまず意識が向くのはメロディーや表面的な激しさ・アレンジの目立つ部分で、上記のような部分の魅力に気がつくのは何度も聴いてある程度曲を覚えてからなんじゃないかと思うのだ。

だから、激しさが薄いという意見は分からなくはないけれど、つまらないという意見は半分は受け手側の問題のような気もしないでもない。ま、人の好みなんて人それぞれと言えばそれまでだが。

 

同様に、初めてパスコの曲を聴く人たちは、「アイドルなのに激しい(ギャップ)」とか、シャウトとかにまず意識が向く気がする。それらはファンの立場からすると一々面白い要素ではあるけれど、まだファンじゃない人からすると、トリッキーな表面的印象だけで終わってしまう可能性もある。ストレートな3コードの美メロって感じでもないし。

自分みたいにラウドロックの文脈がない人は特に。

だから個人的にはリズムや曲調(の変化)を覚えて感じる面白さを強調したいところ。

 

 

「パスコの曲はスルメ曲」と思う理由の1つに、以上のような「リズムとその変化を感じる」までに「一定の時間がかかる」というところがある。

自分自身、1回聴いて「?」ってなっても、何回も聴いて曲を覚えてからどハマりすることが良くある。

でも、複雑であるがゆえの楽しさはなかなか他では味わえないと思う。

 

 

こういうことを書くと、何か面倒臭そうって感じる人もいるかもしれない。でも、別にそんな深く考えてはいなくて、体を揺らすときの楽しみ方のあくまで一例にすぎない。いつも自分は単に踊っているだけなんだけれど、その時の意識の一部分を抽出して言葉にするとこんな感じになるってだけ。

だからライヴに行く前に完璧に曲調を暗記する必要もない。自分はむしろ覚えている途中が一番楽しいかもって気もする。

もし今パスコがちょっとでも気になっている人がいたら、曲を体に馴染ませるくらい聴き込んでみると魅力に気付くかもって話です。

こんな聴き方してる人もいるよっていうあくまで一例として読んでもらえればと。

 

 

自分は元々Never Sleep Againって曲が好きで、パスコを知ったのも多分その頃。でも、当時は実際ライヴに行くほどのめり込んでいるわけじゃなく、付かず離れずでたまに気にするぐらいだった。(余談だが、当時から盛岡のタワレコでライヴDVDとかCDとか発売日に買いに行ったら扱っていなかったことが何度もあった。だから盛岡のライヴは感慨深かった。)

ふとしたタイミングでオレンジって曲にハマったことがきっかけになって頻繁に聴くようになり、アルバムZenithに入っているシングル群で彼女たちに注目して本格的に追うようになった。だからファンとしてはそんなに歴が長いわけじゃない。(隙自語)

 

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そんな自分が語るのもアレだが、縦ノリ要素の強いZenith、横ノリ要素が加わったClarity(最新アルバム)、その両者がバランスしたATLASが混ざった現ツアーのセットリストは今までで一番好き。

正直ATLASの3曲はどれもメチャクチャ好きなので、今から新曲が楽しみでしかない。 

 

 

パスコの魅力については、まだまだ色々付け加えたいことはある。

メンバー今田夢菜のシャウトが素晴らしいとか、

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(↑この曲がただのポップスではなくPassCodeなのはかなりの部分シャウトに拠る)

ピコリーモ的要素(ピコピコした音色)と女性ヴォーカル+オートチューンも、重くなりがちな曲調に対して軽さや透明感を与えている…とか、

メンバー南菜生が昔バンドやっててメチャ音楽好きで若手邦楽バンドに対する愛が凄いとか、…

【毎週火曜日20:00〜21:00】LIKE SONG:南菜生(PassCode) | Backstage Café

でも書き始めるとキリがないので、このへんでやめとこう。

 

(11/20大事なことなので追記)自分はメンバーの高嶋さんを山岡士郎のようなメンタリティの持ち主だと思っている。

 

  

と思ったが最後にもう1つだけ。

自分はパスコのファン(「ハッカー」と呼ばれる)が割と好きだ。

いわゆる「アイドル」の「コール」ってものには賛否あるが、ライヴに参戦してて思うのは、ハッカーのそれはいい加減というかどこかプロレス的で、アイドル的なノリはある意味仮の姿、コールの言葉は結構適当だけど楽しもうとする姿勢だけ凄いところが好きなのだ。

 

(もしライヴに行ったことがなくて、これから行こうかなという人には、「パーティーピーポー」のタイミングだけだいたい覚えていくことをおススメ。とりあえず

・Never Sleep Againのシンセが鳴ってる間奏前の4拍

・ONE STEP BEYONDの間奏でオートチューンがケロケロするところ

・MISS UNLIMITEDのI wanna〜の前

あたり押さえとけば多分大丈夫。

他にも色々あるけれど、知らなくてもその場にいれば何となく分かるから迷ってたら行ってみよう!)

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以上。自分はドラマーでもないし、こういうジャンルの音楽は全然門外漢なので、的外れなこととか言ってたらごめんなさい。

パスコに関わる全ての人にオマエラ最高だ感謝を。

夜空はいつでも最高密度の青空だ

映画「夜空はいつでも最高密度の青空だ」を観る。

 

 

見終わった後「あっ」とか「えっ」とか「ねえ」とか「そっかー」とかだけで会話したくなる。 

色の使い方もキレイ。

「何が起きてもおかしくない」って映画の大テーマの一つだと思う。

 

映画を観終わった後ふと思い出したRADWIMPSの「謎謎」の歌詞を読みながら、おやすみなさい。